4月に入り、街中で新社会人の姿を見かけるようになりました。
毎年この時期になると、十数年前の自分の新人時代を思い出します。
新卒で入社したのは某外資系のIT企業。外資系だけあって、「ダイバーシティ」&「インクルーシブ」な企業風土、様々な障害のある方が普通に(自然に)活躍していました。
その年、入社した同期は60人程(超氷河期と言われた年で、例年の半分ほどの採用だったそうです)、障害者はたぶん車イス使用者が1名だったと思います。
新宿の研修センターまで遅刻しないように無茶苦茶朝早く起きて、出木杉クンばかりの優秀な同期についていくのに必死だった半年間の新人研修。。。
楽しくもありましたが、やっぱりキツかった思い出です。。。
社会人として鍛えてもらった会社でしたが、もう一つの外資系らしさ「成果主義&リストラの嵐」により転職を決意。ちょうど10年働いてサヨナラしました。その時、既に同期で残っている社員は半分でした。。今はどうなってるんだろう。

・・・さて、転職先は日本内資ICT企業のグループ。今の会社はグループ企業の障害者の雇用促進にも携わっており、仕事内容もガラッと変わりましたが穏やかに働けてるかな(笑)


そんなこんななこの季節、ふと思いついたのが今回のお題です。新年度、1回目はちょっとマジメなネタで「車イスユーザの就労」について考えてみたいと思います。



■働いている車イスユーザー数
まずは、車イスユーザーの雇用の現状についてみてみましょう。
厚生労働省が公表している「平成28年障害者雇用状況果」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000145259.htmlによると、民間企業に雇用されている障害者は474,374人(ダブルカウントした人数、ダブルカウントについては以下で別途記述します)と過去最高となっており、実雇用率も1.92%とこちらも過去最高です。
詳細は以下のグラフをみていただくとして、とにかく働く障害者がとても増えていることがわかります。

障害者雇用数表
厚生労働省:平成28年障害者雇用状況の集計結果、集計結果の詳細(全体版)より
(クリックで大きく表示されます)

身体・知的・精神、すべての障害種別で増加しているわけですが、もう少し細かい内訳を見てみましょう。それが以下の数字です。

雇用障害者種別内訳
厚生労働省:平成28年障害者雇用状況の集計結果、集計結果の詳細(全体版)より
(クリックで大きく表示されます)
 
車イスを使用している人は、肢体不自由の下肢機能障害1級又は2級である場合が多い為、今回は身体障害者の等級が1級と2級に注目しましょう。
身体障害者の等級が1級と2級は「重度身体障害者」とされておりますので、上の表から約10万人の方々が民間企業で働いていることがわかります。この内、下肢機能障害者、車イスユーザーがどれくらいかまではわかりませんが、次の数字と比較すると少し見えてくるかもしれません。

平成27年度の「社会福祉行政業務報告」の障害種別ごとの手帳保有者数を見てみましょう。(年度が1年違いますが、激変する数字ではないためこの値で見ます。ちなみに政府統計総合窓口e-Statで確認できます。http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001034573
これによると、身体障害者の1級と2級の総数は2,408,735人となっており、このうち下肢機能障害1級、2級の数は約1割の252,127人です。
身体障害者の年齢別構成は65歳以上に非常に偏っており、18~65歳までの障害者の常用労働者の割合は僅か25%程度です。つまり、1級2級の総数ではザックリ60万人、下肢機能障害者は6万人ほどの常用労働者がいることになります。

かなり乱暴な計算ですが、高齢者以外の重度身体障害者 の6人に1人が働いているという見方ができそうです。
そして、障害の種別によって違いがあるとは思いますが、仮に手帳の保有数と同じ割合として考えたとすると、下肢機能障害者は1割程ですので、約1万人の車イスユーザーが民間企業で働いているといえそうです。
(あくまでも車イス研究所の計算による値ですのでご注意を)



■企業にとっての車イス従業員とは
多くの車イスユーザーが企業で働いていて、その数は毎年増えていることがわかりましたが、その背景には何があるのでしょうか。
その一つが「法定雇用率制度」であることは間違いないでしょう。
法定雇用率制度の詳細については以下を見ていただくとして、
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/04.html
簡単にいうと、従業員が50人以上の企業の場合、従業員数の2%は障害者を雇用することを義務付ける制度です。社員が100人いる会社の場合、2人は障害者でないといけないわけです。

さて、この法定雇用率制度には「ダブルカウント」という決まりがあります。
↑のURL先にも記載されていますが、「重度障害者を1人雇った場合には、障害者を2人雇ったとみなす」という決まりです。この重度障害者というのは、身体障害の場合は上記したように1級又は2級の方が該当します。
このダブルカウント、実は企業の担当者にとっては、重要なポイントです。
例えば、社員数が1000人規模の会社では、本来20人の障害者を雇わなければなりませんが、車イスユーザーを10人雇用すれば、重度障害者のダブルカウントで20人雇用したことになり、法定雇用率を満たした事になります。

障害者の雇用の際にはで記載したように様々な配慮が必要となりますが、車イスユーザーの雇用の場合は、車イスで働けるオフィス環境を整えてしまえばほとんどの問題が解決します。また、一度整えてしまえば何人もの車イスユーザーにも対応できます。(まあ、そう簡単ではないこともありますが)
企業の担当者にとって、いかに障害のある求職者を集めるかは悩みの種で、また、どのように障害配慮を行い職場定着を行うかは更なる難題です。
その意味で、ダブルカウントができて、配慮方法が比較的明確な車イスユーザーの求職者に魅力を感じる企業が増えています。

企業に対し、障害者の雇用を義務付ける法定雇用率制度やダブルカウントといった考え方には賛否がありますが、ここではその点を論じるのは避けておきます。ただ、これらの制度が前述の障害者の雇用が促進している要因であることは確かです。

現状がわかったところで、次回は、車イスユーザーの就労がこれからどう変化するかを見ていきます!