前回の予告通り、今回の「第44回 国際福祉機器展H.C.R.2017」Active車イスレポートはオーエックスエンジニアリング編です!
多くのアクティブ系車イスユザーから絶大な支持を集めているOX。ここのところ新モデル発表が無かったため、毎年さみしい思いをしていた方も多いのでは。
でも、今年は違います!!それでは注目の新モデルを見ていきましょう!


■オーエックスエンジニアリング
手動日常車の新モデルの登場は、2014年秋のREVの「LX」「LR」以来で3年ぶり。OXだけで言えば、2013年春の新型「SX」「SR」以来の実に4年半ぶりとなります。


こちらがその新モデル!↓
OX参考出展6
おおー!素直にカッコイイ!!
OXのイメージカラーでもあるイエローが鮮やかでスポーティな印象。
やっぱりOXの車イスは黄色が一番似合う気がします(ビューティフルライフの影響ですかね)。

お話をうかがうと、まだ名前がないこの新モデルの位置付けは、なんと「ZZR」の後継機!!だそうです。ということは、必然的にOXのフラッグシップということになります。

上の写真をパッと見る限り、「GWXⅢ」の方が近い感じもしますが、じっくりと見ていくとZZRの後継機であること、フラッグシップであること、そして今後のOXの未来が見えてきます!

では、もう少しわかりやすい写真からこのモデルに迫ってみましょう。




【ポイント①:アンダーフレーム】
OX参考出展1
↑クリックすると拡大表示します。
この新モデルには大きな特徴が3点あります。
まず1点目がアンダーフレームです。
アンダーフレームが「Mシリーズ」のような丸パイプフレームではなく、「SSR」や「Sシリーズ」のGパイプフレーム(注1)でもありません。ZZRと同じBOXフレーム(注2)のように見えます。
ナルホド、このことから、ZZRの後継機であることがうかがえます。
それにしても、ZZRと見比べると非常にシャープでスタイリッシュなBOXフレームです。いえ、BOXフレームという名ではないかも。聞いておけばよかった。。。


このアンダーフレームの形状ですが、実はよく似たモデルが過去に存在していました。
1999年に登場した名機「VWシリーズ」です。
(先ほどちらっと書きましたが、2000年に放送されたドラマ「ビューティフルライフ」で常盤貴子さんが乗っていた車イスです。詳しくはこちらの記事をご覧ください)
丸パイプフレームの一部分に、楕円形状やモナカ状のフレームを組込むことで高剛性・軽量化を両立させる手法は、日常車ではVWシリーズが始まり(たぶん…)。
VWシリーズ⇒「GWX-R」⇒ZZRとひきつがれ、今回のモデルに至るとしたら、OXの歴代モデルの血脈を感じるNEWフレームと言えそうです。

※注1:パイプ断面を「ひょうたん」の様な形状にすることで剛性の向上を図ったフレーム。

※注2:2つのコの字型の部材を合わせて高強度化を実現したフレーム。板状から成形・溶接してモナカ状としたフレームは、肉厚が薄く中が空洞で軽量。中にビーム(補強)を入れることで、必要部位の剛性を向上できる。




【ポイント②:リアサスペンション】
ZZRといえば、2003年にフォールディングタイプ(折畳式)車イス世界初のリアサスペンション搭載車として衝撃のデビューをはたしたモデルです。
その後 SSRにも搭載されますが、やっぱりリアサスと言ったらZZR!そのZZRの後継機であるならリアサスの搭載は必須条件!
ということで、この新モデルもしっかりリアサスがついています
OX参考出展3

え、わからない?今回は写真が下手なせいではないです。では、これでどうでしょうか

OX参考出展2
分かりましたでしょうか・・・
なんと、エキセントリックカラー(チェーン…じゃなくて、車軸位置調節パーツ)一体型のリヤサスペンションです。
見た目がとてもシンプルなので、言われなければこれがサスペンションになってるとは気づけないかも。
エキセントリックNEW
上図の白丸部分がシャフトの穴です。動きとしてはこんな感じのイメージかな。
いかにも「サスペンションついてます!!」という従来型とは全くことなります。
ちなみに、というか当然ですが回転による、前出し、後座高調節はできません。
確認すると前出しセッティングは4センチ or 6センチとのことでした。また、従来モデルのエキセントリックカラーとは大きさが異なり、今のところは既存モデルに流用はできないとのこと。
でも、きっと流用できるようになるとは思います(そうじゃないとこの形にした意味がない・・・)。

あとは、リアサスとしての性能が気になるところではありますが、そこはOXですので杞憂ですね。



【ポイント③:セパレート構造】
3つ目は、新モデル最大のポイントです。
上の写真と下の絵を見比べていただくとわかりやすいかもしれません。
01NEW_ZZR
この新モデルはなんと、メインフレームが上部のアッパー(青色部分)と下部のアンダー(緑色部分)に分割できる構造になっています。
このようなセパレート構造にした理由は・・・このブログをいつも読んでいただいてる方ならピン!とくるかも。
理由は「マルチマテリアル」化対応です。
例えば、アッパーフレーム部分はカーボンで、アンダーフレームはマグネシウムと上下で異なる素材を使うことができます(その逆もできます)。
また、ユーザーの予算に合わせて、あえてアルミを選択して価格を抑える、なんて選択もできるかもしれません。
今のところ、従来ZZRより1キロほど軽いとのことですので、約9.2キロぐらいとのことです。

ちなみに、アッパーフレームとアンダーフレームをつなぐ赤色部分は板状のカーボン製のプレートのようですが、この部分がとっても重要です。
従来のOXのフレームは以下の図ように、アッパーフレームの前方の高さやシート角度、前・後座高の違いによって、「タイプⅠ」「タイプⅡ」「タイプⅢ」、「レギュラー」「ハイ」「フラット」「ロー」などの多彩なバリエーションを用意していました。(車種によって異なります。)
フレームバリエーション
引用:オーエックスエンジニアリング オーダーカタログ2017.Vol.1 より
しかし、高価で製作がアルミより難しいカーボンやマグネシウムのフレームを何パターンも用意するのは大変です。
比較的、加工がしやすいカーボンプレートであれば、サイズバリエーションを豊富に用意することができます。
ホイールベースを決めるアンダーフレームを「ロング」と「ショート」の2種類用意すれば、アッパーフレームはワンサイズだけでも、カーボンプレートのバリエーションを揃えることで、かつてないほどのサイズ選択が可能となります。

と、この考えが正しければ、メインフレームのセパレート構造は、実に合理的と言えそうです。

この、メインフレームのセパレート構造はこのモデルが初ではありません。
2010年にREVが発売した日常車「RF」です。
RFは上図の赤色部分のツナギが無く、アッパーフレームとアンダーフレームを直接ジョイントする構造でした。(しかし、それ故に色々と不都合も。。。)
当時もマルチマテリアルを意識したモデルであったことは間違いなさそうで、難燃性マグネシウムの登場で一気に進むと思われたものの、諸々の事情でペンディング。
残念ながら、RFは短命におわり「幻のモデル」となってしまいました。

それから7年たち、2020年の東京オリパラも控えて、部材調達の空気もだいぶ変わっているようです。
既に競技用のレーサーでは「CARBON GPX」でマルチマテリアルを実現してますが、いよいよ日常車にフィードバックされる日がきそうですね!




OXではこのほかにも、「NEO」よりも細かい調整機構を備えた「NEO PLUS」や、陸上競技入門用のレーサー「GP-S」などがNEWモデルとして展示されており、今年のOXは近年では間違いなくダントツの勢いを感じました!








▶︎次回予告◀︎
これで、国内メーカー編は終わり・・・ではありません!!
今、一番注目すべき"あの" メーカーがまだです!!
今年はなんとフォールディング(折畳)タイプを引っ提げての登場!
そして、全くノーマークの企業から、驚くべきActiveチタン製車イスの出展・・・
次回もお楽しみにー!